旧統一教会に対する宗務行政の適切な対応を要望する声明(宗教研究者有志 2022年10月24日)

                                                                             2022年10月24日

 本年7月8日に発生した安倍元首相銃撃事件を契機として、世界平和統一家庭連合(旧世界基督教統一神霊協会、以下「旧統一教会」)が行ってきた霊感商法や過度の献金要請、旧統一教会と政治家との関係、および宗教二世の問題などがマスメディアの報道によって周知されることになりました。現在、必要なことは、新たな被害を生み出さないために、現代宗教のあり方、宗教と政治の関係について認識を深めると同時に、透明なプロセスにそって所轄官庁が適切かつ迅速な宗務行政の対応を行うことだと考えます。

 すでに、旧統一教会に対する見解や声明は、霊感商法対策弁護士連絡会、日本宗教連盟理事長談話、および被害者や二世信者などからさまざまな形で出されており、内閣府も省庁連絡会議や消費者庁に設置された有識者検討会の報告ということで、宗務行政や消費者法における対応の強化を提言し、政府も質問権の行使を文部科学省に指示したところです。

私たちはこの問題に対してかねてより懸念をもってきました。正体を隠した勧誘は「信教の自由」を侵害しますし、一般市民や信者の家計を逼迫させ破産に追いこむほどの献金要請は公共の福祉に反します。そして、こうした人権侵害に対して教団としての責任を認めてこなかったことは許容できることではありません。ここであらためて研究者有志として旧統一教会問題に対する行政的対応の迅速かつ適切な遂行を求めたいと考えています。

具体的には、宗教法人法の78条2項に定める報告質問権の速やかな行使に基づいた事態の把握、また関連する既決の諸判決、宗教家・宗教学者・法律家などによる旧統一教会の諸活動に対する専門的な調査などをもとに、宗教法人審議会における公正な検討を求めます。そのうえで旧統一教会の諸活動の中で法令遵守に違反し、公共の福祉を害するものがあるのであれば、第81条1項に基づき、宗教法人格の取消しを視野に入れ、裁判所への解散命令請求などの行政的措置を速やかに行うことを求めます。また、霊感商法や高額献金の被害者救済と二世信者支援の施策を併せて行うことも望みます。 

                                                                                  以上

宗教研究者 有志

島薗進   東京大学    名誉教授    (代表)

櫻井義秀  北海道大学   教授      (代表)

飯嶋秀治  九州大学    准教授

伊藤雅之  愛知学院大学  教授

大谷栄一  佛教大学    教授

鎌田東二  京都大学    名誉教授

川島堅二  東北学院大学  教授

木村敏明  東北大学    教授

氣多雅子  京都大学    名誉教授

小原克博  同志社大学   教授

釈徹宗   相愛大学    教授・学長

伊達聖伸  東京大学    教授

中西尋子  大阪公立大学  都市文化研究センター 研究員

中野毅   創価大学    名誉教授

西村明   東京大学    准教授

林淳    愛知学院大学  教授

平藤喜久子 國學院大學   教授

星野英紀  大正大学    名誉教授

堀江宗正  東京大学    教授

三木英   大阪国際大学  教授

宮嶋俊一  北海道大学   教授

宮本要太郎 関西大学    教授

八木久美子 東京外国語大学 教授

山中弘   筑波大学    名誉教授

弓山達也  東京工業大学  教授

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