『日本の科学者』第39卷第3号、2014年3月、特集「原発過酷事故を倫理的・道義的に考える」、掲載。
1. 流出した放射性物質の健康影響問題にどう対処するか?
福島原発事故の直後に、原子力発電や放射線の健康影響に関わる科学者(科学技術に携わる人々)集団がどのような態度をとったかはよくよく吟味する必要があるだろう。科学者が科学者にふさわしい行動を取ってきたかどうか。そのことが市民と科学者集団との信頼関係を損ねるようなものでなかったかどうか。こうした問いに取り組んでいくことで、科学者の倫理性・道義性について、またそれを高めるための制度や仕組みについて考えていく手がかりが得られるだろう。ここでは、福島原発事故により流出した放射性物質の健康影響の分野の科学者集団の行動のある局面に光を当てていく。
続きを読む