生活知と近代宗教運動―牧口常三郎の教育思想と信仰(1)

河合隼雄他編『岩波講座宗教と科学5 宗教と社会科学』岩波書店,1992年12月、212‐244ページ

一 科学・宗教・生活知

 「創価学会という名前を初めて聞いたとき、どんな学問を研究している団体かと思った。後から宗教団体だということがわかり驚いた。近代人の科学崇拝が宗教の中にもしみこみ、宗教団体が科学を僣称するという現象なのだろう」。ひと昔前、創価学会が話題になるとき、こんな感想が聞かれた。なるほど、一宗教団体が「学会」と称していることは奇妙なことかもしれない。しかし、創価学会の立場からすれば、そこに何等奇異なものはない。創価学会の信仰は真の仏法を代表するが、それはまた最高の哲学であり、科学的真理を代表するものでもある。
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抵抗の宗教/協力の宗教――戦時期創価教育学会の変容

倉沢愛子他編『岩波講座 アジア・太平洋戦争6 日常生活の中の総力戦』岩波書店、2006年4月、239−268ページ(途中まで)

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創価学会の仏教革新―戸田城聖の生命論を仏教思想史上に位置づける

「新宗教と現世救済思想――創価学会の仏教革新」高崎直道・木村清孝『シリーズ・東アジア仏教4 日本仏教論――東アジアの仏教思想Ⅲ』(春秋社、1995年9月)より

1 はじめに

 都市化や情報化が進み、激しく変化していく世界の中で、実践される宗教としての仏教、また実践者の集団としての仏教教団はどのように変容していくのだろうか。二〇世紀の後半の世界で、どちらかと言えば衰退傾向にある多くの伝統仏教と対照的に、たくましい生命力を発揮して世界の人々に受け入れられてきた実践仏教運動がいくつかある。アメリカ合衆国やヨーロッパ・台湾などで熱心な信徒を集めているチベット密教や禅仏教、タイの都市大衆を引き付けているタンマカーイやサンティ・アソークなどはその例である。霊友会系の教団や真如苑など、日本の新宗教の中の仏教運動もそれに含まれる。しかし、世界の広い地域でもっとも多くの人々をまきこんで展開している運動は、いうまでもなく日蓮正宗・創価学会の運動である。

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創価学会の平和主義と憲法9条解釈

『UP』2014年9月号より

【集団的自衛権の閣議決定と公明党】
 二〇一四年七月一日の集団的自衛権の閣議決定をめぐる公明党の態度は、支持者である創価学会の会員にとっても分かりにくいものだったようだ。創価学会について宗教思想史の側面からいくつかの研究論文を発表してきた私のような宗教研究者にとっても、理解が容易ではなかった。
 七月三日の『東京新聞』は、共同通信による世論調査の結果をこう紹介している。「集団的自衛権の行使容認に慎重だった公明党が最終的に行使容認へ転じたことについて支持層の四九・〇%が「納得できない」と答え、「納得できる」の四二・四%を上回った」。首相が政府、与党に検討を指示してから約一ヶ月半で行使容認が閣議決定されたことについて、公明党支持層の七九・九%は「検討が十分に尽くされていない」と回答しているという。

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国家に都合のよい大学になってはいけない

市場経済至上主義は科学への信頼をゆがめる 
スマホ版『情報・知識事典 imidas』2015-03-27 より

 今年も多くの若者が、4月から大学生活という新しい船出をしようとしている。しかし今、その大学に憂慮すべき事態が起こりつつある。文部科学省が、国立大学から文系の学部を排除し、理系中心にしようとしているのだ。これによって大学は今後どうなるのか?  宗教学が専門で、東京大学で26年の長きにわたり教鞭をとり、日本学術会議会員などもつとめた島薗進先生にお話をうかがった。
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日本の放射線影響・防護専門家がICRP以上の安全論に傾いてきた経緯(6) ――ICRPの低線量被ばく基準を緩和しようという動きの担い手は誰か?――

1999(平成11)年4月21日に、東京新宿の京王プラザホテルで「低線量放射線影響に関する公開シンポジウム――放射線と健康」が開催された。この公開シンポジウムは、アメリカでの新たな気運を反映して、低線量被ばくによる健康への悪影響は少なく、むしろよい影響があることを示そうとするものだった。そして、ICRP`の防護基準は厳しすぎるので、実は100mSv(あるいはそれ以上の線量)以下の低線量ではほとんど被害はないと考える専門家がその勢いを強めようとしたのだった。日本ではこの時期までにこの立場の専門家がかなり増えており、この会議以後さらにその傾向が高まる。この公開シンポジウムに関わるような研究が、その前後の時期に電力中央研究所(電中研)や放射性医学総合研究所(放医研)でどのようになされてきたかについては、これまであらまし見てきた。(以上、(1)~(5)) 続きを読む

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戦後日本の在家仏教者の平和思想

「心なおしによる平和――現代日本の新宗教の平和主義」『大巡思想論叢』第16輯、2003年12月(韓国で刊行)の第4節「庭野日敬の仏教理解と平和思想(2)」を掲載します。「心なおしによる平和」の題で同じブログに掲載している「庭野日敬の仏教理解と平和思想(1)」に続くもので、庭野日敬『平和への道』佼成出版社(1972年)の平和思想の紹介です。
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心なおしによる平和――現代日本の新宗教の平和主義

「心なおしによる平和――現代日本の新宗教の平和主義」『大巡思想論叢』第16輯、2003年12月(韓国で刊行)の第3節「庭野日敬の仏教理解と平和思想(1)」を掲載します。
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九.一一以後の日本の宗教協力組織の行動

  • 「心なおしによる平和――現代日本の新宗教の平和主義」『大巡思想論叢』第16輯、2003年12月(韓国で刊行)の第1節を掲載します。

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科学者と政府のよくない関係

『科学』(岩波書店)2014年2月号

「御用学者」「原子力村」
 原子力や放射線健康影響を専門とする科学者を中心に、多くの科学者が危険は小さい、被害の可能性を過大評価してはいけないとの立場にそった発言や情報提示を行ってきた。公衆が知りたいはずの重要な情報が公開されなかったり、隠されたりしていると疑われることも少なくなかった。放射性物質を帯びた気流が地域に及ぶことを予測する情報が適切に伝えられなかったことについて、あるいは汚染水処理対策がひどく遅れたことについても科学者に責任があるとの見方がある。 これは安全のための措置を注意深く準備し、万全の対策とるという立場と対立する。
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