シンポジウム 都市型コミュニティの住民援助における行政(公)と市民(私)の連携 -全市民対象地域包括ケアの資源把握と将来展望-

2016年3月1日

主旨:現代の大都市では、住民の孤立化が起こりやすくなっている。認知症高齢者の急速な増加が懸念されており、地域包括ケアの充実が求められている。しかし、高齢者だけではない。精神障害者、路上生活者、外国人、引きこもり、不登校、家庭内暴力など、隠れた孤立のなかで進行する困難に対処するのがますます困難になってきている。川崎市の地域包括ケアはこうした状況を踏まえ、全市民を対象とした地域包括ケアの充実を目指すものだ。この地域包括ケアを堅固に進めていくためには公私のリソース(社会資源)が有効に連携し、活用されていくことが必要だ。では、そのためにはどのような社会資源があるのか、新たな社会資源はどのように現われてくるのか、公私の連携はどのようにして深めることができるのか、公私連携のための社会技術はどのように科学的に分析できるのか。このシンポジウムでは、以上のような問題について考えていきたい。

日時:平成28年3月8日、18:30〜20:45
場所:川崎市産業振興会館 9階 第3研修室(川崎市幸区堀川町66番地20)
座長:島薗進(上智大学グリーフケア研究所・所長)
発表者:
島薗  進(上智大学グリーフケア研究所・所長)
福芝 康祐(川崎市地域包括ケア推進室・室長)
高橋 邦彦(名古屋大学大学院・医学系研究科生物統計学分野・准教授)
水流 聡子(東京大学大学院・工学系研究科医療システム工学寄付講座・特任教授)
岡村  毅(東京大学大学院医学系研究科・助教)
高瀬 顕功(大正大学BSR推進室・研究員)
指定等論者:
石井 光太(作家)

本シンポジウムは科学技術振興機構 社会技術研究開発センターの「安全な暮らしをつくる公/私空間の構築」研究開発領域の平成27年度企画調査「都市型コミュニティ(川崎市)における援助希求の多様性に対応した介入・支援に関する調査」によるものです。

参加申し込み・お問い合わせ
 上智大学グリーフケア研究所
  電話:03(3238)3776  FAX:03(3238)4661
  Eメール: griefcare@sophia.ac.jp

池田大作「二十一世紀の平和路線」を読む(2)

2015年8月3日

『創大平和研究』の創刊号(1979年2月)(『池田大作全集』第1巻、収録)の論文の読解。(1)の続きです。

 この論文で池田大作氏は6つの「提言」を示している。その第1は「平和憲法の遵守」である。プロローグに続いて、「一」から「六」へとその「提言」が述べられていく。以下、「一、平和憲法の遵守」を紹介しつつ、私なりに捉えたその現代的な意義を述べて行く。まず、この節の冒頭を紹介する。
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池田大作「二十一世紀の平和路線」を読む(1)

2015年8月2日

  『池田大作全集』第1巻に収録されている「二十一世紀の平和路線」という論文は、現在の創価学会の平和思想を理解する上で欠かせないものの一つだ。池田=トインビー対談(以下のウェブサイト、参照 http://shimazono.spinavi.net/?p=675 )などと並んでもっとも重要なものの一つだろう。この論文は『創大平和研究』の創刊号(1979年2月)に掲載されたもので、概要は以下のウェブサイトにまとめられている。

http://space.geocities.jp/felix_jpn_sgi/Marathon/001-02.html 

 この論文は、1980年頃から2010年代に至る時期の創価学会の平和思想と、創価学会が支持する公明党の政策との関係を理解するのに大いに役立つはずだ。とりわけ、2014年から2015年にかけて、公明党が集団的自衛権を容認し、一般の創価学会員の平和観との間に齟齬を来している事態を理解する際に意義が大きい資料である。だが、ここでこの論文を取り上げるのは、そうした時事的関心にとどまらない。あわせて、この論文がもつ宗教的な平和思想としての現代的意義についても考えていきたい。

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大学における人文・社会科学系教育を軽視する文科省通知に抗議する日本学術会議幹事会声明(7月23日)に国際社会科学協議会から支持

2015年7月29日

大学における人文・社会科学系教育を軽視する文科省通知(6月8日)に抗議する日本学術会議幹事会声明(7月23日)   http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/division-17.html … に対し国際社会科学協議会 (International Social Science Council(ISSC))からの支持表明が7月24日付で送られてきました。国際社会科学協議会のAlberto Martinelli会長 (President International Social Science Council, Professor Emeritus of Political Science and Sociology, University of Milan, Italy)の書簡の形をとっています。

SCJ letter July2015 (2)

生活知と近代宗教運動―牧口常三郎の教育思想と信仰(2)

2015年7月27日

河合隼雄他編『岩波講座宗教と科学5 宗教と社会科学』岩波書店,1992年12月、212‐244ページ

二  牧口常三郎の生活知開発思想

 牧口の二つの大著『人生地理学』(一九〇三年)と『創価教育学体系』(一九三〇―三四年)を比べてみると、牧口常三郎の思想や学問的関心には大きな変化があったように見える。前者は地理学の書物であり、後者は教育学、教育行政に関する書物である。前者には「価値論」や「価値創造」への言及はなく、後者では人間と環境との関わりに関する思考は目だっていない。北海道で地理を教えていた牧口と、東京で郷土会に加わったり、新カント派やデュルケムの思想に触れたり、大正デモクラシーの空気を吸ったり、教育行政の現場に立ち合った後の牧口との間には、大きな隔たりがあるように思われるかもしれない。

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生活知と近代宗教運動―牧口常三郎の教育思想と信仰(1)

2015年7月27日

河合隼雄他編『岩波講座宗教と科学5 宗教と社会科学』岩波書店,1992年12月、212‐244ページ

一 科学・宗教・生活知

 「創価学会という名前を初めて聞いたとき、どんな学問を研究している団体かと思った。後から宗教団体だということがわかり驚いた。近代人の科学崇拝が宗教の中にもしみこみ、宗教団体が科学を僣称するという現象なのだろう」。ひと昔前、創価学会が話題になるとき、こんな感想が聞かれた。なるほど、一宗教団体が「学会」と称していることは奇妙なことかもしれない。しかし、創価学会の立場からすれば、そこに何等奇異なものはない。創価学会の信仰は真の仏法を代表するが、それはまた最高の哲学であり、科学的真理を代表するものでもある。
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抵抗の宗教/協力の宗教――戦時期創価教育学会の変容

2015年7月27日

倉沢愛子他編『岩波講座 アジア・太平洋戦争6 日常生活の中の総力戦』岩波書店、2006年4月、239−268ページ(途中まで)

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創価学会の仏教革新―戸田城聖の生命論を仏教思想史上に位置づける

2015年6月25日

「新宗教と現世救済思想――創価学会の仏教革新」高崎直道・木村清孝『シリーズ・東アジア仏教4 日本仏教論――東アジアの仏教思想Ⅲ』(春秋社、1995年9月)より

1 はじめに

 都市化や情報化が進み、激しく変化していく世界の中で、実践される宗教としての仏教、また実践者の集団としての仏教教団はどのように変容していくのだろうか。二〇世紀の後半の世界で、どちらかと言えば衰退傾向にある多くの伝統仏教と対照的に、たくましい生命力を発揮して世界の人々に受け入れられてきた実践仏教運動がいくつかある。アメリカ合衆国やヨーロッパ・台湾などで熱心な信徒を集めているチベット密教や禅仏教、タイの都市大衆を引き付けているタンマカーイやサンティ・アソークなどはその例である。霊友会系の教団や真如苑など、日本の新宗教の中の仏教運動もそれに含まれる。しかし、世界の広い地域でもっとも多くの人々をまきこんで展開している運動は、いうまでもなく日蓮正宗・創価学会の運動である。

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創価学会の平和主義と憲法9条解釈

2015年6月20日

『UP』2014年9月号より

【集団的自衛権の閣議決定と公明党】
 二〇一四年七月一日の集団的自衛権の閣議決定をめぐる公明党の態度は、支持者である創価学会の会員にとっても分かりにくいものだったようだ。創価学会について宗教思想史の側面からいくつかの研究論文を発表してきた私のような宗教研究者にとっても、理解が容易ではなかった。
 七月三日の『東京新聞』は、共同通信による世論調査の結果をこう紹介している。「集団的自衛権の行使容認に慎重だった公明党が最終的に行使容認へ転じたことについて支持層の四九・〇%が「納得できない」と答え、「納得できる」の四二・四%を上回った」。首相が政府、与党に検討を指示してから約一ヶ月半で行使容認が閣議決定されたことについて、公明党支持層の七九・九%は「検討が十分に尽くされていない」と回答しているという。

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国家に都合のよい大学になってはいけない

2015年6月12日

市場経済至上主義は科学への信頼をゆがめる 
スマホ版『情報・知識事典 imidas』2015-03-27 より

 今年も多くの若者が、4月から大学生活という新しい船出をしようとしている。しかし今、その大学に憂慮すべき事態が起こりつつある。文部科学省が、国立大学から文系の学部を排除し、理系中心にしようとしているのだ。これによって大学は今後どうなるのか?  宗教学が専門で、東京大学で26年の長きにわたり教鞭をとり、日本学術会議会員などもつとめた島薗進先生にお話をうかがった。
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